私は、市川市動植物園の子ザル、パンチに夢中になっている。
小さな背中。
丸いお腹。
一人で戦っている姿。
成長して友達が増えてきた今でも、この子の未来をずっと見守っていたいと思っている。
周りが不思議がるほど、どうして私はこんなにもパンチが気になるのだろう。
ある日、ふと考えた。
そして気づいた。
私はパンチに、自分の心を投影しているのだ。
一人で戦っている小さな猿の姿が、
今、一人で人生を切り開こうとしている自分と、どこか重なって見える。
性別も年齢もまったく違う。
それでも、パンチが頑張る姿に、私は確かに勇気をもらっている。
私も、前へ。
前へ進もう、と。
動画を見ながら心配したり、笑ったり。
気づけば時間を忘れ、寝る時間が削られていく。
それでも私は、毎日パンチを見ている。
不思議なことに、夜はぐっすり眠れる。
丸い背中。
愛嬌たっぷりの表情。
布団の中で目を閉じると、そんなかわいい姿が浮かんでくる。
本当は今日も、きっと私はつらいことがあった。
もし一緒に暮らす人がいたなら、そんな話を聞いてもらえたかもしれない。
そんな毎日が、少し寂しいのかもしれない。
年を重ねるほどに、
自分の本当の感情をうまく隠して、
小さな幸せをかみしめる日常が上手になった。
だけど、心の奥をそっと掘り返してみると、
そこにはやっぱり、不安がある。
これからの人生への、不安。
それでも。
大丈夫。
大丈夫。
押さえこんだ感情があふれないように、
まぶたの裏に浮かぶパンチの姿が、そっと現実に蓋をしてくれる。
そして私は、勇気をもらう。
甘えたい盛りなのに、
ほんの一瞬しか甘えられない飼育員さんとのご飯の時間。
しがみつくパンチの、小さくて全力の手のひら。
その姿は、
私がどこかで恋い焦がれている、
あたたかな家庭のぬくもりそのもののように見える。
もちろん、パンチはそんなこと考えてもいない。
ただ前だけを見ている。
一日一日を。
その瞬間を。
ただ、まっすぐに生きている。
そこに、私が目指したい生き方がある。
小さな赤ちゃん猿に、
私は教えられている。
うれしい。
かなしい。
楽しい。
その時の感情を上書きしながら、
ただ目の前の時間に集中する。
その中で、小さな楽しみを見つけていく。
パンチが少しずつ自分の道を切り開いていくように、
私もただ、今を生きよう。
今日も私は、パンチの一日を見る。
見続ける。
そして、笑顔になる。
この子はきっと、
私の人生の小さな師匠だ。
そう思うと、心がふっと優しくなる。
パンチ。
一緒に、人生のてっぺんに登っていこうね。


